今回は不登校の子供たちの多くが感じている「自己嫌悪」についてです。
心の問題を抱えた子供たち、特に不登校や家庭内暴力、引きこもりなどに陥っている子供たちはとりわけ、とてもよくものを考えます。考えすぎると言ってもいいくらいです。
当然ながら、彼らは自分のことも多く考えるのですが、そのときに冷静に自分を分析できればいいのですが、彼らの抱えている問題の原因のほとんどが彼らが意識できない無意識の領域にあります。これは今まで何度も書いてきました。だから、彼らには自分を分析することは、なかなか出来ません。
このこと、つまり自分では自分の苦しみの原因を冷静には判断できないというのは、実は皆さんも同じなのではないでしょうか。
皆さんは子供が不登校になったから大変だ、だからそのことが原因で苦しんでいる、と思っていますよね。それはそうなのです。
でも、このような例を挙げて不謹慎かもしれませんが、世の中には子供さんが不治の病にかかっていて、その看病に毎日追われて、それでも明るくたくましく生きている方はたくさんおられます。
皆さんの場合、これも不謹慎な言い方ですが、子供さんが不登校になっても、命まではとられません。にも係わらず、皆さんの苦しみは一晩で髪が真っ白になるくらいの苦しみです。いったい何が違うのでしょうか。
例えば、不治の病であれば、周囲もその苦しみを分かってくれます。しかし、不登校の場合、本人の苦しみも、皆さんの苦しみも、周りの方はなかなか分かってはくれません。このようなことは一つの大きな違いでしょう。
また、皆さん自身、子供の不登校に責任を感じてしまうこともあるかもしれません。場合によっては、皆さんは無知の人々から、「ダメな親」という視線を向けられるようなこともあればなおさらです。
そのようなことは、皆さんの心をとても苦しめるでしょう。
でもそれだけではないと思います。例えば、自分の子供が不登校になったと分かった時には、絶望的な気持ちになりませんでしたか?
なぜ、そのような気持ちに襲われたのでしょうか。彼らに未来がなくなったと思われた方もいらっしゃるでしょう。でも冷静に考えれば、彼らの未来なんて彼らの心が元気であれば、いくらでもありますよね。
他の子供たちが歩む、普通の道からドロップアウトしてしまった、と感じてしまったからでしょうか。
そうかもしれません。でもこれも同じで、何も他人と同じ道を歩かなくても、これも彼らの心が自然に解決していく問題ですよね。困難はともなうかもしれませんが、その分、とても生き生きとした人生を歩めるかもしれません。
あるいは、周りの人に顔向けができない、ということもあったかもしれません。でも、これも冷静に考えれば、それに対していろいろ言う人の方が間違っているのです。
しかし、私なり誰なりがいくら冷静に、客観的に、「そのように考える必要はありません」と言っても、おそらく皆さんは、それでもそのような苦しみを解消できないのではないでしょうか。
なぜならば、皆さんの苦しみもまた、理性では割り切ることができない、無意識の領域の中に、真の原因があるからです。
皆さんの心の中に、「子供は普通に学校に行って・・・」という抜きがたい無意識的な価値観があって、またその周囲には、他にもさまざまな無意識の価値観があって、それらが皆さんを苦しめているのではないでしょうか。
そして、話は複雑になりますが、上に書いたような、真の原因は自分ではなかなか変えられない無意識にはぐくまれてきた価値観にある、ということもまた、皆さんはお分かりになっていると思います。でも、どうすることも出来ない、つまり、皆さんの苦しみというは、二重、三重にも複雑に積み重なった、重い苦しみと言えるものなのです。
皆さんは自分を責めます。しかしこのような苦しみに耐えられる方は、そう多くはいません。
話を彼らに戻しますが、彼らも同じように、無意識の中に原因がある分けの分からない苦しみと戦っています。
そして彼らはそのような苦しみを感じる自分は一体なにものなのか、ということを常に問い続けるようになります。これは彼らの存在価値そのものへの疑問ですよね。そしてほぼ例外なく行き詰ってしまいます。
行き詰った先には何が残るでしょうか。自分さえ確立できない自分、他の人には出来ることでも自分には出来ない自分、そのような情けない自分の姿だけなんです。彼らの認知の限界で、そのような姿は全く間違っているのですが、それに彼らは気づきません。
そして彼らは、いつしかそのような自分自身を認めることができない、愛することができないという状態に追い込まれていきます。
たとえ過激な家庭内暴力で親を攻め立てている子供であっても、彼らが最も認めることが出来ないのは、彼ら自身です。むしろ、自分が好きになれない、認めることが出来ないからこそ、そのイラツキを身近な人間にぶつけてしまう、これが家庭内暴力です。
不登校や引きこもりの場合であっても、彼らが真に責めているのは彼ら自身の弱さなのです。
皆さんから見れば、彼らは我がままや身勝手そのものかもしれませんよね。でも、そういう次元とは別の処で、彼らは戦っているのです。
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